福島県伊達市の泌尿器科・内科 大泉ほんだクリニック

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第13回 夜尿症について

泌尿器科腫瘍について書く予定でしたが、“夜尿症”についての要望が多かったのでこちらを先に書くことにします。

“夜尿症”とは、“おねしょ”のことで、本当に病気なの?と思っている方が多いようです。

夜尿症は自然経過で治癒する頻度が比較的高く(就学児では年10―15%の自然治癒),実際は成人までに99%直るもので、かつては自然経過を見守る考えが大勢をしめていました。しかし当事者および家族にとっては深刻な問題で、実際夜尿症の子どもは、外見はなんでもなくても、葛藤はかなりであるという報告があり、現在では治療を積極的の行なうようになっています。

では“夜尿症”はなぜおこるのでしょう?

原因としては、

  1. 膀胱が小さい、夜は通常は膀胱が日中より大きくなるのですが、それがならない。
  2. おきれない。一般的におしっこが溜まってくると眠りが浅くなり起きるようになるのですが、それができない。
  3. 夜おしっこが多く作られる。正常では夜間はホルモンの分泌のため尿量が減少するのに尿量が減少しない。

などが考えられていて、さらにそれらが混じり合っているといわれています。

 

また、過活動膀胱や神経因性膀胱など別な疾患により起こっている二次性のこともあります。

次に夜尿症の診断のためには、下記のことを行ないます

  1. 問診:昼間遺尿(日中のもれること)・排尿困難・腹圧排尿・Squatting・便秘があるかどうか?
    →過活動膀胱や神経因性膀胱の有無を検討します。
  2. 身体所見:腰部の皮膚異常・外陰部のぬれ
    →二分脊椎や過活動膀胱の有無を検討します。
  3. 早朝一番尿比重:尿濃縮障害があるか?
  4. 排尿記録:最も重要な検査
    これは朝起きてから寝るまでの間の一回ごとのおしっこのでた“量”と“時間”を記録するものです。
    夜はもれてしまうので、寝る前にオムツまたはパッドをつけてもらいます。そのオムツまたはパッドの重さを事前に測っておいて、朝起きたら、再度測って、その差を夜もれた量(夜の尿量)とします。もちろん眠ってから途中おきてトイレに行った場合はその時間と量も記録します。これを2-3日行なってもらうと、結果で何が原因かがある程度わかります。もし夜尿症の子どもさんのいるご家庭では試してください。(記録用紙は何でもいいですし、尿量を計測するのは100円ショップで売っているような、計量カップでかまいません。)

以上の結果を見て夜尿症が原発なのかどうか、また原因は何が考えられるかを検討し、治療に移行します。

夜尿症の治療:

治療には生活指導・行動療法(夜尿アラーム)・薬物療法(DDAVP・三環系抗うつ剤・抗コリン剤)がありますが、現在は夜尿アラーム・薬物療法が主流です。

  1. 生活指導:
    食事内容,飲水量をcheckし飲水制限をすることや、過活動膀胱が合併している場合(日中も漏れがあり、膀胱容量の小さい場合)は膀胱訓練(排尿を我慢させる)が有用でありますが、小児のため意欲を高め行なうことが難しく、効果はあまりあがらないようです。
  2. 夜尿アラーム
    夜尿アラームは寝る前に、尿を感知するセンサーを下着に取り付け、寝ると、おねしょをしたときブザーがあるものです。このブザーはスイッチを切るか、接続をはずすかしないととまりません。本人が起きて止めるか、家族が止めるのですが、そのとき子どもさんを一度起こします。(特にトイレに行かせる必要はありません。)そのことを毎日繰り返します。尿意覚醒をするようになると考えがちであるが,実際は多くの症例において睡眠中の尿保持力が増大し,尿意覚醒をせずに朝までもつようになり改善します。
    効果は6−7割で、終了後再発は少ないといわれています。器具なので副作用はないのですが、家族が夜中に起きなければならないことが多く、脱落例が1-3割いるといわれています。この方法は海外では第一選択となっており、日本夜尿症学会でも推奨しております。
  3. 薬物療法
    1) 三環系抗うつ薬:
    アナフラニール・トフラニール・トリプタノール等があり,夜尿症に対する薬理作用としては,尿意覚醒を促進する作用,抗コリン作用,尿量減少作用 などが知られていますが,実際どの作用により有効性がもたらされているのか,なぜ効くのかがいまだにわかっていません。有効率は,日本での試験においては43.1%,海外では50%前後と報告されています。しかし,投与中止後の再発も多く,長期の有効率は17―25%です.副作用の発現率は,本邦では12.3%で、主に食欲不振,悪心,嘔吐,不眠,眠気などです.重篤な血液,肝障害を引き起こすこともあり、また心毒性や多量服用による死亡例の報告もあり、ヨーロッパでは副作用のために第一選択剤としては勧められていません。私たちも夜尿アラーム・DDAVP・抗コリン剤が無効の場合に使用を考慮します。
    2) 抗利尿ホルモン(DDAVP:デスモプレッシン)
    寝る前に 点鼻することで、夜間の尿量を減少させおねしょを改善させます。海外では,本剤の夜尿症に対する短期投与での有効例(夜尿日数が50%を超えて減少した場合)は60〜80%と高く報告されており,プラセボとの比較試験でも,その有効性は確認されています.即効性があり、宿泊訓練などに有用ですが、短期投与での再発率は56〜100%と非常に高いです。この抗利尿ホルモンが実際分泌されるようになって、改善するため、一時しのぎのような感じかもしれません。しかし、年齢と共に分泌されてくるし、寝る前に点鼻するだけと手軽なので、希望されることは多いです。アレルギー性鼻炎があると,本剤の吸収を著しく低下させ,治療効果を減少させるので,鼻症状を有する場合には,必要に応じて鼻炎の診断,治療を行うとともに,点鼻前に鼻を十分かむことが重要です.副作用としては、どうしても尿が出なくするため、体内に水が貯留されるため、頭痛、吐き気、嘔吐、けん怠感が起こることがあります。そのため、夕方からは水分接種を制限してもらう必要があります。
    3) 抗コリン剤
    膀胱自体が小さい場合があります。また過活動膀胱を合併している場合があります。この場合は抗コリン剤ポラキス・バップフォーの内服が必要になります。抗コリン剤は,(昼間)尿失禁の改善や機能的最大膀胱容量の増大が認められることから,尿失禁,頻尿や尿意切迫感等の症状を有する過活動膀胱による低膀胱容量の夜尿症に適応と考えられています。副作用に口渇・便秘がありますので注意が必要です。
  4. 低周波治療
    過活動膀胱の場合や膀胱用量が小さい場合は低周波治療が効果をあげることもあります。当クリニックではこの干渉低周波治療器を導入しており、夜尿症患者さんにも活用していく予定です

いろいろ書きましたが、もし何か質問等がある人は毎週火曜日午後1時〜2時半まで尿もれ無料電話相談をしていますので、お気軽に電話してください。

次回は悪性腫瘍について書きたいと思います。

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