
間質性膀胱炎とは、皆さんあまり聞きなれないと思いますが、医師特に泌尿器科でも最近になってやっと耳慣れてきた病気です。どんな病気かというと今まで決まった定義がなく、頻尿や膀胱部痛を持つ病気とされていました。そこで間質性膀胱炎研究会が ガイドラインを作成して、この病気を膀胱の非特異的な慢性炎症を伴ない、頻尿・尿意亢進・尿意切迫感・膀胱部痛などの症状を呈する疾患としました。すなわちおしっこが近く、たまってくると膀胱やその周辺が痛くなる病気で、その他別の病気がないものということです。
では実際に患者さんはどれくらいいるのでしょうか?近年海外ではだいたい10万人に200人ぐらいといわれています。しかし、日本の調査では10万人に2人というきわめて少ない結果が出ています。これは日本ではまだ間質性膀胱炎を知らない医療者が多いため、診断できずにいることを表しています。そのため、自分が間質性膀胱炎かなと思ったら、泌尿器科でも特に間質性膀胱炎を知っている医療機関に行かないと“特に異常ではない”“問題なし”しまいには“精神的におかしいのではないか?”といわれかねませんので注意が必要です。
間質性膀胱炎の患者さんは実際どのぐらい困っているのでしょうか?QOLを調べた論文では、間質性膀胱炎患者さんは尿失禁や慢性疾患よりも生活の質を落としている結果でした。すなわち、間質性膀胱炎患者さんは非常に困っているのです。
では間質性膀胱炎を診断するにはどうするのでしょうか?
実際決まった診断基準はありません。まずは症状で疑います
症状には1膀胱部疼痛(特に膀胱充満時)が特徴的です。これがある場合はかなり疑います。痛む部位としては膀胱・尿道が中心ですが、腰部・大腿・外陰部・膣から骨盤全体に及ぶ場合もあります。しかし膀胱部疼痛のない場合もあり(頻度約5割)注意が必要です。

最も多い症状は2頻尿・夜間頻尿です。
また3尿意切迫感も認められますが、過活動膀胱のときのように突然起こる場万するのが難しい尿意のことではなく、不快感のため早く尿を出してしまいたいという感じです。その他少ないですがC排尿時痛・肉眼的血尿を伴なうこと間あります。これらの症状は自然によくなったり悪くなったりします。また、辛いものなど刺激物や柑橘物を食べた時や脱水による尿が濃い場合にも増悪することがあります。
次に病歴を聞きます。病歴として経過が長く、関連する複数の科をいくつも受診しても異常なしといわれていることが多くあります。また膀胱を広げる薬(抗コリン剤)を使用したが効果がないことや、膀胱炎として繰り返し治療されていることや尿所見に異常がないこと、尿を我慢した後に悪くなったことがあることなどがあると間質性膀胱炎を疑います。
間質性膀胱炎を疑ったら、同様の症状を起こす疾患を除外しなければなりません。その疾患と鑑別ポイントは以下のとおりです。
以上の疾患を除外できたら確定診断のために、膀胱のカメラ(膀胱鏡)を行ないます。所見としては1)膀胱容量の低下2)膀胱粘膜下の血管の増生3)潰瘍形成4)膀胱充満後に排水するときに起こる出血などがあります。これらを認めれば間質性膀胱炎と診断してよいのですが、通常麻酔をしない外来での膀胱鏡では痛みが強く、変化も見るまで膀胱に生理食塩水を注入できないこともしばしばあります。そのような場合には診断と治療をかねて麻酔下膀胱鏡を施行します。これは全身麻酔または腰椎麻酔下に膀胱内に80cmH2Oの圧力をかけて膀胱を拡張させ膀胱に1)点状出血2)亀裂3)潰瘍などの変化が出るかを観察する方法です。
当クリニックでも膀胱鏡による診断は行なえますが、麻酔下膀胱鏡は行なっていませんので登録病院を紹介することとなります。
診断がついたら、治療です。治療についてですが、大きく分けて
があります。
通常は麻酔下膀胱鏡に続けて行ないます。80cmH2Oの水圧で膀胱内に生理食塩水を注入充満させ、その状態で約8分間拡張させます。効果は約5-6割ありますが、半年で再発することが多いとされています。しかし繰り返し行なうことは可能です。合併症としては膀胱破裂が約1割に認められます。また約25%の患者さんでは施行後数日は症状が悪くなることがありますので説明が必要です。
DMSO膀胱内注入療法:炎症抑制・筋弛緩・鎮痛・コラーゲン分解などの作用があります。注入10-20分後排尿しだします。1週間に1度程度で8回行ないます。副作用として注入後にんにく臭が体から発生します。注入初期には症状増悪する場合もあります。
有効率:軽症:50-90% 重症:50-70%、再燃率:30-40%です。効果はありますが、本邦では承認されておらず、自前で試薬を調整する必要あり、十分なインフォームドコンセントが必要です。当クリニックではまだ施行できませんが、希望の患者様が来院されましたら行なうことを考えています。

いままでは病気としての認識が薄かった間質性膀胱炎です。原因もまだ不明ですが、検査や治療法は開発され効果を挙げているものも多くなりました。当クリニック院長も間質性膀胱炎研究会会員であり、福島医大泌尿器科時代は、間質性膀胱炎の治療の最前線にいました。もし頻尿・尿意が亢進し、膀胱部痛がある方は、御来院ください。
次回は神経因性膀胱について書きます。
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