
第6回では過活動膀胱とは?についてお話しましたが、今回は診断と治療についてお話します。
まず過活動膀胱を診断するには“過活動膀胱質問表”“排尿記録”をします。
まず過活動膀胱スクリーニング問診表があります。これは一般のかたで自分が過活動膀胱の可能性があるかを見るものです。みなさん質問票をやってみてください。もしひとつでも当てはまり、困っている場合は医療機関受診をお勧めします。(もちろん、当てはまることがあっても、日常生活に困っていないなら医療機関を受診する必要はありません。)

次に過活動膀胱質問表は医療機関を受診した場合に行なうもので、前回述べました“尿意切迫感”“頻尿”“夜間頻尿”“切迫性尿失禁”がどの程度あるかを数字にして、合計から診断するものです。もちろん過活動膀胱は尿意切迫感がなければいいませんのでこの項目は2点以上であることが重要です。
合計で3点以上の場合、過活動膀胱であることが予想されます。

今までの質問票だけでも過活動膀胱は診断できてしまいますが、除外診断や、その人の排尿習慣を見るため“排尿記録”を行ないます。これは、排尿カップに毎回排尿してもらい、排尿時間と排尿量を記録してもらうことで、通常3日間、日中も夜も記録してもらいます。排尿記録をすることで1回の排尿量、排尿回数、夜の回数、尿量などさまざまな排尿習慣がわかります。

実際頻尿の中には、脳梗塞や心臓疾患予防のために水分摂取を過度に行なっている人がいます。1日尿量が2.8Lを超える場合は多尿でありますので注意が必要です。(実際には脱水の場合は脳梗塞や心臓疾患になりやすいですので水分摂取をしなければなりませんが、通常の場合水分を多く取ったからといって予防できるという証明はありません。)
その他検査として、男性の場合は、前立腺肥大症や前立腺がんの合併も考え、尿流・残尿測定、前立腺腫瘍マーカー採血(PSA)また膀胱炎や膀胱がん、結石を除外するため、検尿・尿細胞診(尿にがん細胞が混じっているかの検査)・超音波検査は施行することがあります。 過活動膀胱の治療ですが、大きく分けて、“行動療法”“薬
物療法”“電気刺激療法”に分けられます。日本では薬物療法が中心となります。
まず行動療法ですが、生活指導・膀胱訓練・骨盤底筋体操があります。生活指導としては、飲水制限:水分やカフェインを摂り過ぎない、時間排尿:早めにトイレに行く、トイレの場所を確認しておく、などがあります。次に膀胱訓練ですが、尿意を催した場合トイレを我慢することです、具体的には、少しずつ15〜60分単位でがまんする間隔を延ばしていきます。目標はトイレを2〜3時間がまんできる状態にします。我慢しすぎると膀胱炎になるのでは?と心配になられる方がいると思いますが、通常15-30分追加になるだけでは膀胱炎になる危険性が増すとは思えません。

骨盤底筋体操は通常は腹圧性尿失禁に行なうものですが、骨盤底筋を収縮させることで、神経が刺激され膀胱過敏を抑えられるという報告があります。具体的に膣と肛門を意識的に緩めたり締めたりする体操です。リズミカルに10回締めることを1セットとし5-10セットを1日2回行なうとよいでしょう。膀胱訓練と一緒に行なうと効果が高まります。

次に薬物療法です。通常抗コリン剤を使用します。通常膀胱は神経より出る物質(アセチルコリン)で支配されていますが、これが膀胱に付きすぎると、過活動膀胱が発生するといわれています。抗コリン剤はこれをブロックし、膀胱をリラックスさせます。

この薬は毎日飲み続けないと元の戻ってしまいますので注意が必要です。副作用として最も多いのは口の渇き(口渇)です。これは唾液の分泌を抑えてしまうためです。約1割あるといわれています。そのほかに便秘・排尿困難があります。また、緑内障の患者さんでは眼圧があがる場合がありますので、通院している眼科の許可が必要です。
前立腺肥大症の患者さんに安易に抗コリン剤を処方しますと、排尿困難ひいては尿閉(尿が出なくなる)になることがありますので、この場合は前立腺肥大症の治療(α1ブロッカー)を優先し、残尿が軽度であることを確認してから使用します。
最後に電気刺激法です。これはさまざまな方法で電気刺激することで過活動膀胱の頻尿や尿失禁の症状に対し、骨盤底筋の収縮力を強化したり、膀胱や尿道の神経の働きを調整します。副作用もなく、効果も良いと言われていますが、日本ではまだあまり普及していません。ただ、中止すると1〜数ヶ月で元に戻るため、継続が必要です。通常は最初2週間のうちに3回施行し、その後は1-2週に1度の間隔で治療していきます。
さまざまな部位での行なえますが、Cの体表装着が一般的です。当クリニックにも、Cでの治療を行なっていきます。治療時間は約20分で、電極を腹部と臀部に合計4枚はり行ないます。
最後に過活動膀胱の症状がある人が、病院を受診しているかです。

実際は年のせいとあきらめたり、尿もれという羞恥心から多くの方は医師に相談できない、また家庭医・主治医に相談してもわからない場合が多いようです。当クリニックでは治療はもちろん、ホームページなどを通して過活動膀胱を啓蒙していきたいと考えております。
次回は尿失禁(腹圧性・切迫性)についてお話します。
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